
「積載率を上げろと言われても、そもそも今の積載率を正確に測れていない」。運送事業者や荷主の物流担当者から、最近こうした声を多く聞きます。
国土交通省の統計では、営業用トラックの積載効率は約40%。ドライバー不足が深刻化するなか、荷室の半分以上を「空気」のまま走らせている計算です。さらに、荷室には積載率とは別のリスク——貨物盗難・荷抜き——も潜んでいます。本記事では、日本の物流現場が抱える「積載率の計測問題」と「貨物盗難」の実態を整理し、AIカメラによる荷室可視化という解決アプローチを解説します。
この記事のポイント
- トラック積載率が約40%にとどまる背景と、改正物流効率化法で荷主に求められる対応が分かる
- 目視・手計算による積載率計測がなぜ限界なのか、現場の実情から整理できる
- 年間900〜1,000件前後とされる貨物盗難・荷抜きの手口とリスクが分かる
- AIカメラで「積載率の自動計測」と「盗難対策」を同時に実現する方法が分かる
トラック積載率は約40%——半分以上「空気」を運んでいる
国土交通省の統計によれば、営業用トラックの積載効率は1993年度の約53%から2019年度には約40%まで低下しています。EC拡大に伴う多頻度小口配送、荷姿の多様化、片道空車回送などが主な要因です。
この「積載率の低さ」が問題視される背景には、2つの大きな環境変化があります。
物流2024年問題——輸送力そのものが足りない
2024年度からトラックドライバーに時間外労働の上限規制(年960時間)が適用され、1人のドライバーが運べる量に上限がかかりました。輸送力不足を補う最も現実的な手段が、1台あたりの積載率を上げて輸送効率を高めることです。
改正物流効率化法——荷主にも積載効率向上が求められる時代に
2026年4月に全面施行された改正物流効率化法では、荷主企業・物流事業者に対して積載効率の向上、荷待ち時間の短縮などの取り組みが求められるようになりました。一定規模以上の特定事業者には中長期計画の作成や定期報告も課され、「積載率をデータで把握し、改善を示す」ことが実務上の課題になっています。
なぜ積載率を正確に測れないのか——手計測の3つの限界
多くの現場では、積載率の把握が次のような方法に依存しています。
- 目視・自己申告:ドライバーや荷役担当者の感覚に頼るため、人によって「8割積んだ」の基準がバラバラで誤差が大きい
- 伝票ベースの推計:重量や個数からの逆算では、荷姿による空間のロス(隙間・デッドスペース)を反映できない
- データが残らない:その場で判断して終わりのため、便別・ルート別の積載率を蓄積して比較・改善につなげられない
改善活動は「現状の正確な測定」から始まります。測れないものは改善できない——積載率も例外ではありません。
もう一つの荷室リスク——貨物盗難・荷抜きは年間900〜1,000件
荷室には積載効率とは別の深刻なリスクがあります。日本国内では貨物自動車の盗難が年間900〜1,000件前後発生しているとされ、単純計算で1日約2.5件。海外の調査では、犯行手口として積荷の一部だけを抜き取る「抜荷(荷抜き)」が約4割、荷台カバーの切り裂きが約4割を占めるという報告もあり、車両ごと盗まれるケースだけでなく「荷物だけが静かに消える」被害が現実に起きています。
貨物盗難の厄介な点は、被害そのものに加えて「いつ・どこで・誰の管理下で消えたのか」を特定できないことにあります。
- 荷室内の記録映像がないと、盗難か紛失か誤出荷かの切り分けすらできない
- 責任範囲が不明確になり、保険金請求時の紛争や求償トラブルに発展しやすい
- 高価値貨物(家電・医薬品・ブランド品など)は狙われやすく、取引先からの信頼低下に直結する
AIカメラで荷室を可視化する——積載率計測と盗難対策を1台で
こうした「積載率が測れない」「荷室で何が起きているか分からない」という2つの課題を、荷室に設置するAIカメラで同時に解決するアプローチが広がっています。エッジAIカメラで積載率を可視化し共同輸送に活用する実証実験が大手物流企業で始まるなど、「荷室の可視化」は物流DXの新しい定番になりつつあります。
当社のAI搭載 貨物コンテナ積載量計測カメラ TCI-SEKI-01(貨物積載率可視化カメラ)は、次の機能で荷室の可視化を実現します。
1. 空間占有率(積載率)のリアルタイム自動計測
深層学習の画像分割アルゴリズムが荷室内の空きスペースを検知し、積載率を自動で数値化。目視・手計算に代わる客観データとして、便別・ルート別の積載率比較、低積載便の特定、共同配送や帰り荷獲得の判断材料になります。最低照度0.01Lux対応で、暗い庫内や夜間荷役でも計測できます。
2. 荷積み過程の映像記録
積み込みから荷卸しまでを映像で記録し、積み付け状態を動的に追跡。「積んだ時点の状態」が証拠として残るため、破損・紛失時の原因追及と責任範囲の明確化に役立ちます。
3. AI人物検知による盗難・不正乗車の即時警報
荷室内で人物を検知すると即時にアラートを発報。荷抜き・抜荷や不正な立ち入りを早期に発見し、被害の拡大を防ぎます。
4. ドライブレコーダー・車載機器との連携
AIドライブレコーダーや車載MDVRと連携し、運行データと積載データをプラットフォームで一元管理。RTSP/ONVIF/ISO-17215対応で既存機器とも接続でき、「人・車・道・貨物」をまとめて見渡すフリート管理を実現します。
導入を検討する際のチェックポイント
- 計測方式:重量ベースか容積(空間)ベースか。隙間・デッドスペースまで見るなら容積ベースのカメラ計測が有効
- 環境耐性:荷室は温度変化・粉塵・洗車の影響を受けるため、防水防塵性能(TCI-SEKI-01はIP69K)と動作温度範囲を確認
- 夜間・暗所対応:早朝・深夜の荷役が多い現場では最低照度性能が実用性を左右する
- 既存機器との連携:ドラレコ・MDVR・管理プラットフォームと接続できるか、対応プロトコルを確認
- データの活用先:計測して終わりではなく、配車計画・共同配送・荷主報告にどうつなげるかを先に設計する
まとめ——「測る」ことが積載率改善と盗難対策の第一歩
トラック積載率約40%という数字は、裏を返せば大きな改善余地がまだ荷室に残っているということです。改正物流効率化法への対応も、貨物盗難対策も、出発点は同じ——荷室で起きていることを正確に「測り、記録する」ことです。
AIカメラによる荷室可視化にご関心のある方は、TCI-SEKI-01 製品ページをご覧いただくか、お問い合わせフォームよりお気軽にご相談ください。現場の運用に合わせた構成をご提案します。

