
車の盗難被害が年間5,000件を超える現在、愛車を守るための最も確実な方法は「盗まれにくい車を最初から選ぶこと」です。しかし、多くの人が見落としているのが、車種による盗難リスクの圧倒的な差です。同じ価格帯でも、選ぶ車種によって盗難される確率は10倍以上も変わることをご存知でしょうか。
この記事では、盗まれない車の選び方と防犯性能の高い車種についてご紹介します。どれも手軽に始められるものばかりなので、今すぐ実践して大切な愛車を守りましょう。

目次
なぜ「車種選び」が最重要なのか
盗難の現実:狙われる車は決まっている
2024年の警察庁統計で明らかになった衝撃的な事実があります。自動車盗難の被害車種TOP10が、すべてトヨタ車(レクサス含む)で占められているという現実です。これは偶然ではありません。車の盗難には明確な「狙われやすさ」の法則が存在するのです。
盗難犯は決してランダムに車を選んでいません。彼らは「盗みやすく」「売りやすい」車を狙います。つまり、この2つの条件を満たさない車を選べば、盗難リスクを劇的に下げることができるのです。
「盗みやすい車」と「盗みにくい車」の違い

動きに反応するセンサーライトは、夜間の防犯に非常に効果的です。泥棒の多くは人目につくことを極端に嫌うため、明るい環境は最も効果的な抑制手段の一つです。
盗みやすい車の特徴
- 街中でよく見かけるため、盗難車両が目立たない
- 盗難技術が確立され、短時間で盗める
- 防犯機能が標準的で、突破方法が知られている
盗みにくい車の特徴
- 盗難技術が確立されていない
- 独自の防犯システムを搭載している
- エンジンや制御システムに特殊性がある
防犯性能で選ぶべき車の条件
条件1:海外転売需要の低い車種
盗難の最終目的は海外転売です。日本で盗まれた車の多くは、中東やアジア諸国に輸出されます。この海外需要こそが、盗難リスクを決定する最大の要因なのです。
海外で人気の車種(避けるべき) トヨタ車、特にランドクルーザー、アルファード、ハイエースは中東での需要が異常に高く、現地での売価が日本の中古車価格を大幅に上回ることがあります。レクサス車も高級車市場で絶大な人気を誇ります。
海外需要の低い車種(安全) マツダ車は海外での認知度と需要が限定的です。ディーゼルエンジンを主力とするマツダは、ガソリンエンジンを好む海外市場では需要が低く、結果として盗難リスクも低くなります。スバル車も水平対向エンジンという特殊性から、海外での整備が困難で転売価値が限定的です。
条件2:独自の防犯技術を持つメーカー

各メーカーの防犯への取り組み姿勢には大きな差があります。単にイモビライザーを搭載するだけでなく、独自のセキュリティシステムを開発しているメーカーの車は、盗難リスクが格段に低くなります。
マツダの防犯技術 マツダは「i-ACTIVSENSE」という統合安全技術の一環として、高度な防犯システムを開発しています。車両の状態を常時監視し、異常を検知すると複数の警報システムが連動して作動します。また、スカイアクティブエンジンの制御システムは独自性が高く、盗難犯にとって扱いにくい車となっています。
スバルの防犯技術 スバルの「アイサイト」は単なる運転支援システムではありません。車両周辺の監視機能を防犯にも活用し、不審な動きを検知する能力を持っています。また、SUBARU STARLINKによる車両位置の追跡機能も標準的に搭載されています。
条件3:メンテナンス・整備の特殊性
盗難犯は盗んだ車を速やかに解体し、部品として売却することもあります。この時、特殊な工具や技術が必要な車は敬遠される傾向にあります。
水平対向エンジンの特殊性 スバル車の水平対向エンジンは、一般的な直列エンジンやV型エンジンとは全く異なる構造を持っています。このため、整備や部品取りに特別な知識と工具が必要となり、盗難犯にとってリスクの高い車となります。
ディーゼルエンジンの転売困難性 マツダのクリーンディーゼルエンジンは高度な技術の結晶ですが、それゆえに海外での整備が困難です。特に中東諸国では、ディーゼル車への規制が厳しく、転売価値が大幅に下がります。
具体的におすすめする車種とその理由
コンパクトカー:MAZDA3が最適解
MAZDA3を選ぶべき理由は明確です。まず、盗難統計において被害がほぼゼロという圧倒的な安全性。そして、スカイアクティブテクノロジーによる独自のエンジン制御システムが、盗難犯にとって大きな障壁となっています。
ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの両方を選べますが、防犯性を最重視するなら断然ディーゼルモデルです。海外での転売が極めて困難で、盗難のメリットがほとんどありません。
SUV:マツダ CX-5/CX-8の圧倒的安全性
SUV市場でランドクルーザーやアルファードが狙われ続ける中、マツダのSUVは別世界の安全性を誇ります。CX-5、CX-8ともに盗難統計での被害は皆無に等しく、同クラスの他社SUVとは比較にならない安全性を持っています。
特にCX-8は、アルファードやヴェルファイアと同じ7人乗りでありながら、盗難リスクは100分の1以下です。ファミリー用途で大型車が必要なら、迷わずCX-8を選ぶべきでしょう。
セダン:スバル レガシィの隠れた安全性
セダン市場でクラウンやレクサスLSが盗難上位に君臨する中、スバル レガシィは驚くほど安全です。水平対向エンジンとAWDシステムの組み合わせは、日本車では唯一無二の存在。この特殊性が、盗難犯にとって大きなリスクとなっています。
また、レガシィの海外での認知度は限定的で、転売価値も高級車と比べて大幅に低いのが現実です。しかし、これが所有者にとっては最大のメリットとなります。
ミニバン:選択肢の限界と現実的対策
ミニバン市場は厳しい現実があります。アルファード、ヴェルファイアの盗難リスクが極めて高い一方、代替となる安全な選択肢が限られているのです。
現実的な選択肢として、ホンダ ステップワゴンや日産セレナが挙げられますが、これらも完全に安全とは言えません。ミニバンが必要な場合は、車種選びよりも駐車環境と追加の防犯対策により重点を置く必要があります。
輸入車という選択:防犯面での大きなメリット

なぜ輸入車は盗まれにくいのか
輸入車が盗まれにくい理由は単純明快です。盗んだ後の処理が圧倒的に困難だからです。
部品流通の複雑さ 国産車の部品は国内外で豊富に流通していますが、輸入車の部品は正規ルートでの調達が基本となります。盗難車から取り出した部品を売却するのは、国産車と比べて格段に困難です。
整備技術の特殊性 BMW、メルセデス・ベンツ、アウディなどの車両は、専用の診断機器と高度な技術知識が必要です。町の整備工場では対応できない複雑さが、盗難犯にとって大きな障壁となります。
防犯性能に優れた輸入車
BMW:ConnectedDriveの威力 BMWのConnectedDriveは、24時間365日の車両監視サービスです。盗難が発生した瞬間に位置情報が特定され、エンジンの遠隔停止も可能。この高度なシステムは盗難犯にとって非常にリスキーな存在です。
メルセデス・ベンツ:Mercedes me connectの安心感 メルセデスの車両は、工場出荷時から高度なセキュリティシステムが組み込まれています。不正な侵入を検知すると、自動的にサービスセンターに通報され、所有者のスマートフォンにも即座に通知されます。
買い替え時の判断基準:現実的な考え方
現在の車の危険度チェック
まず、現在所有している車の盗難リスクを客観的に評価しましょう。
即座に買い替えを検討すべき車
- トヨタ ランドクルーザー(全年式)
- トヨタ アルファード・ヴェルファイア(全年式)
- レクサス全般(特にLS、LX、RX)
- トヨタ ハイエース(商用・乗用問わず)
これらの車を所有している場合、駐車環境や防犯対策に関係なく、盗難リスクは常に高い状態にあります。
計画的な買い替えを検討すべき車
- トヨタ車全般(上記以外も含む)
- 年式の古い高級車
- 防犯機能が旧世代の車
新車 vs 中古車:防犯面での選択
新車のメリット 最新の防犯技術が搭載され、盗難手口への対策も最新のものが適用されています。特に、リレーアタック対策やCANインベーダー対策は、最新車種でないと十分な効果を期待できません。
防犯性能重視の車選び:メーカー別の現実
マツダ:統計上最も安全な選択
マツダ車を選ぶ最大の理由は、統計データの圧倒的な安全性です。全車種を通じて盗難被害が極めて少なく、特にCX-5、CX-8、MAZDA3は盗難統計にほとんど登場しません。
マツダが安全な理由は複合的です。海外転売需要の低さ、独自技術による盗難の困難さ、そして何より「狙われにくいブランド」であることが大きく影響しています。
スバル:技術の特殊性による安全性
スバル車の安全性は、水平対向エンジンという技術的特殊性に支えられています。この特殊性は、盗難犯にとって二重の障壁となります。まず、エンジンの始動や制御に特別な知識が必要なこと。そして、盗んだ後の処理(解体・転売)に専門的な技術と工具が必要なことです。
ホンダ・日産:中程度の安全性
ホンダ車、日産車は絶対的に安全とは言えませんが、トヨタ車と比べれば格段に安全です。特に、Honda SENSINGやプロパイロットなど、先進運転支援システムと連動した防犯機能を持つ車種は、相対的に高い安全性を示しています。
トヨタ・レクサス:現実と向き合う
トヨタ車を選ぶ場合は、盗難リスクの高さを受け入れた上で、追加の防犯対策を講じる覚悟が必要です。特に人気車種(ランドクルーザー、アルファード、プリウス、ハイエース)を選ぶ場合は、車両価格の10%程度を防犯対策に投資することを強く推奨します。
購入後に確認すべき防犯機能
新車・中古車問わず、納車時には以下の確認を必ず行いましょう。
イモビライザーの確認 エンジンをかけずにキーを挿入(スマートキーの場合は車内に持ち込み)した際、メーター部分にイモビライザーランプが点灯することを確認。このランプが点灯しない場合、イモビライザーが故障している可能性があります。
セキュリティアラームのテスト ディーラーまたは販売店で、セキュリティアラームの動作テストを依頼しましょう。窓やドアを物理的に操作した際に、適切にアラームが作動することを確認します。
コネクテッドサービスの設定 最新車種の多くは、スマートフォンアプリと連動した車両監視機能を持っています。これらのサービスは納車後に設定が必要な場合が多いので、必ず確認しましょう。
新世代盗難防止装置「ブラックセキュリティ」の登場

ここまで、車の盗難リスクを大きく左右する「車種選び」の重要性について解説してきました。
どれだけ防犯対策を講じても、盗まれやすい車を選んでしまえば、その効果は限定的です。
そこで、株式会社TCIでは、こうした現実を踏まえ、車両本体の防犯性を高める次世代型の盗難防止製品「ブラックセキュリティシステム」を現在開発いたします。
盗まれるを防ぐことに注力した次世代型盗難防止装置の詳細は近日中に公開予定ですので、どうぞご期待ください。

まとめ:本当に「盗まれない車」を選ぶために
車の盗難対策において最も重要なのは、「盗まれにくい車を最初から選ぶ」ことです。後付けの防犯装置や注意深い駐車よりも、車種選びの段階で安全性を確保することが、最も確実で経済的な方法なのです。
愛車を守る最も確実な方法は、統計と技術に基づいた冷静な車種選択です。感情や好みだけでなく、客観的な安全性を重視した選択が、長期間にわたる安心と安全を約束してくれるでしょう。
車両盗難の最新手口や効果的な対策、盗難保険などについては、以下の関連記事で詳しく解説していますので、ぜひご参照ください。