バス置き去り事故は、保育事故の中でも子供が亡くなってしまう事例もある深刻な事故です。
保育事故は頻繁にニュースになっていますが、どのくらいの件数があるのでしょうか。
この記事ではバス置き去り事故等の保育事故やヒヤリハットの件数をまとめました。
ヒヤリハットから減らしていくための防止方法も紹介するので、安全な保育を進めていきましょう。
バス置き去り事故等の保育事故の件数は増加
内閣府では「教育・保健施設等における事故報告集計」を毎年実施しています。
保育事故の件数や内容が2015年から集計されてきました。
集計によるとバス置き去り事故等を含む保育事故の件数は増加してきています。
2021年では死亡5件を含む2347件
内閣府による集計では2021年の1年間に発生した保育事故の総数は2,347件でした。
そのうち死亡数は5件で、30日以上の負傷や疾病を伴う重篤な事故が2,342件です。
認定こども園や認可保育所だけでなく、幼稚園、家庭内保育事業、一時預かり事業、放課後児童クラブなどの保育施設を対象とした集計結果になっています。
なんと1日平均7件くらいの保育事故が起こっているのが現状です。
保育事故の総数は増加・死亡数は減少
保育事故の総数は年々増えてきています。
2015年の集計では保育事故数は600件程度でしたが、2018年には1,000件を超え、2020年には2,015件に到達しました。
2021年にはさらに342件も増加して2,347件になっています。
一方、保育事故による死亡数は減少傾向があります。2015年に14人だった死亡件数は2017年には8件に減少し、その後も徐々に減少して2020年と2021年では5件になりました。
主な死亡原因は送迎バス置き去りや睡眠中の事故死、食事中の窒息死となっています。
保育施設が増加しているのは事故件数が多くなっている要因の一つです。
しかし、保育事故対策が十分ではないことがわかります。
静岡県での232施設でヒヤリハットは1年間で43件
静岡県では牧之原市でのバス置き去り事故の発生を受けて、県内の232施設に対して緊急調査を実施しています。
この調査によって、バス置き去り事故には至らなかったヒヤリハットが43件、園児がまだバス内にいる状況でバスを移動させる「取り残し」事案が3件あったことが判明しています。
他の都道府県でも同様の状況があるとすれば、全国的にはバス置き去り事故につながるヒヤリハットが頻発していると考えられるでしょう。
バス置き去り事故件数ゼロを目指すための防止方法
バス置き去り事故の発生件数をゼロにするためにはヒヤリハットを減らすのが大切です。
取り残し件数もゼロにすることを目標にして多角的な取り組みをしていきましょう。
ここではバス置き去り事故件数ゼロを目指す方法の代表例を紹介します。
人数確認等のマニュアル化・周知
保育施設でのマニュアルの作成と周知は基本です。
送迎バスに乗った人数と降りた人数が一致していることを確認するフローをマニュアル化しましょう。
バスの運転手と複数の保育士でダブルチェックをしてミスを減らすといった工夫も大切です。
マニュアルはスタッフが内容を理解して忠実に実施してこそ意味があります。
研修やe-ラーニングを実施して周知に努めましょう。
定期的なリスクマネジメント教育
保育現場は人手不足で忙しいので、仕事に慣れるとリスク意識が低下してしまいがちです。
定期的にリスクマネジメント教育をして、バス置き去り事故等の認識を促しましょう。
バスを降りるときにすべての座席をチェックするというマニュアルを整備したとしても、「いつも大丈夫だから」という理由でチェックを怠ってしまう場合もあるでしょう。
たまたまその日だけ子供が座席で寝てしまっていたら置き去り事故につながります。
リスクマネジメント教育で常にスタッフにリスク意識を持たせるのが大切です。
バス置き去り対策のセンサーやカメラの設置
バスにセンサーやカメラを設置して置き去り対策をするのも効果的です。
韓国やアメリカなどの海外でもバス置き去り事故の対策としてよく用いられています。
バス車内を見渡せるカメラで人の存在を認識し、クラクションや警報音で知らせるシステムもあります。
エンジンを切った時点で警報装置が鳴り、バスの最後尾に設置したボタンを押さないと鳴りやまない仕組みのシステムも利用可能です。
安全装置の設置は園児バスでは2023年4月から義務化されるので、早めに導入しておきましょう。
2023年4月から安全装置の設置が義務化
痛ましい事故の発生から我々は同じ過ちを犯さないため、教訓として2023年4月から安全装置の設置が義務化されました。
子どもたちの安全を確保するために送迎バスの安全装置の義務化が行われる際、以下のような対策が望ましいです。
- 安全装置の設置: 車内最後尾に確認用のボタンを設置することで、監督者のヒューマンエラーを防ぐことができるため、置き去り事故を限りなくゼロに近づけることができます。感知センサーやカメラも対策に有効ですが、車外の人間を誤って感知してしまうリスクなどもあるため、設置箇所や設定には注意が必要です。
- トレーニングと教育: 運転手や監督者に安全装置の適切な使用方法や緊急時の対応方法についてトレーニングと教育を行うことで、置き去り防止への意識を高めます。また、装置に対しての知見を深めることで緊急時・不測の事態にも迅速に対処が可能です。
- 定期的な点検とメンテナンス: 安全装置は定期的に点検し、必要に応じてメンテナンスを行うことが必要不可欠です。メンテナンスを怠ることで、不測の事態に対処できない可能性があるため注意しましょう。
- 監視と報告体制の強化: 子どもがバスに取り残されないように監視と報告体制を強化します。運転手や監督者が異常事態に迅速に対処し、適切な機関・手段を用いて報告できるようにします。
- 情報の共有: 保護者や子どもたちに、安全装置の存在と使い方を共有することで、監督者が不在の場合でも対処できる可能性が上がります。安全装置の知識があれば、保護者が安心できる環境となります。
- 法的規制と罰則の導入: 安全装置の義務化に伴い、法的な規制が敷かれます。しっかりと規制を行うことで、安全装置の設置が確実に実施され、不幸な事故を限りなくゼロにできるでしょう。
まとめ
バス置き去り事故等の保育事故の件数は年々増えてきています。
今までは事故がなかったから大丈夫だと考えず、今後もゼロにするという意識で防止対策を進めましょう。
マニュアルの整備やスタッフの教育と合わせて、バス置き去り対策の安全装置の設置をするのが大切です。
ヒヤリハットもなくすくらいの徹底した対策をして置き去りのない安全な体制を整えましょう。
また、補助金対象装置の「SOS-0006」も取り扱っております。詳細は下記よりご覧ください。
2023年2月、内閣府「送迎用バスの置き去り防止を支援する安全装置のリスト」に掲載。
品番:SOS-0006
認定番号:A-007
製造メーカー:株式会社TCI
装置の方式:降車時確認式
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